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【実技の問1 虫食い問題かんたん解説】第53回気象予報士試験<実技2>

こんにちは。TeamSABOTENのスクール講師・奥田純代です。 このシリーズでは、実技試験の問1で必ず出題される気象概況の虫食い問題について、簡単に、わかりやすく、そして正確に解説します。

今回は、第53回気象予報士試験<実技2>。地上天気図だけでなく850hPa相当温位・風予想図や気象衛星画像の読み取り問題も含まれています。色々な問題を解いて虫食い問題で満点取れるように学習していきましょう。


■第53回気象予報士試験<実技2>

実技2問1(1)

地上天気図
画像1)図1 地上天気図(着目する情報に赤枠を加筆)

 18日9時の日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄( ① )~( ⑭ )に入る適切な整数値または語句を答えよ。ただし、③⑤は16方位、⑥は図2の等値線の値、⑧⑨⑩は十種雲形を答え、④⑧⑨⑩は漢字で答えよ。

 

 地上天気図によると、佐渡付近に中心気圧が( ① )hPaの低気圧があり、( ② )ノットの速さで( ③ )へ進んでいる。中国大陸から山陰にかけては、( ④ )前線の記号で表示された梅雨前線がのびている。850hPa相当温位・風12時間予想図によると、この前線付近の朝鮮半島上空では、850hPa面でおおむね( ⑤ )の風が吹き、( ⑥ )K以上の高相当温位域になっている。

 

 梅雨前線に近い松江では、全天を8とした全雲量が( ⑦ )であり、( ⑧ )、( ⑨ )、( ⑩ )が観測されている。過去天気として( ⑪ )が報じられているが、前1時間内に( ⑪ )はない。9時の天気は( ⑫ )である。

 

 気象衛星画像で佐渡付近から福島県にかけてと黄海にみられる雲域は、赤外画像で白いことから、雲頂の( ⑬ )が低いことがわかる。また、可視画像でも白く、( ⑭ )がみられる。よって、これらの雲域は槙乱雲と判断される。


①~④は地上天気図から読み取る


①②③は、低気圧の中心を示す✕印の右下の情報から読み取る(画像1の赤枠)。 ③低気圧の進行方向は白抜き矢印が緯度・経度に対してどれくらいの角度なのかを読み取る。

なお、「16方位」で答えるよう指定されている。

④は前線の種類を漢字で答える。

 

① 1006

② 10

③ 南東

④ 停滞


⑤⑥は850hPa相当温位・風12時間予想図から読み取る

<学習のヒント>前線付近について問われているため、地上の前線を描き込んで解いてみよう

850hPa相当温位予想図
画像2)図2 850hPa相当温位・風12時間予想図(地上の前線を紫色の実線、着目する等相当温位線にピンクの実線を加筆)

⑤前線が通る朝鮮半島付近の矢羽から風向を読み取ると、「西北西」や「西」となっている。なお、⑤は「16方位」で答えるよう指定されている。

⑥⑤で風向を読み取った領域の相当温位の値は「345K以上」となっている。

相当温位図は、一般に実線は3K毎太実線は15K毎であることも覚えておくとよい。

 

⑤ 西(西北西も正解)

⑥ 345


⑦~⑫は観測実況から読み取る

<学習のヒント>記号の意味は、資料を見ずに答えられるように覚えよう


観測実況値の入力形式
画像3)観測実況値の入力形式(気象庁HPより)

雲形の記号
画像4)雲形の記号(気象庁HPより)
雲量の記号
画像5)全雲量の記号(気象庁HPより)(国際気象通報式で使用する番号:赤文字の符号を加筆)

観測実況
画像6)松江の観測実況(雲形記号に赤丸、過去天気に水色の枠を加筆)

⑦雲量は「全天を10として雲の占める面積の割合を示す【10分雲量】で観測を行う」と決められているが、この問いでは『全天を8とした』と指定している。このため、松江の全雲量は10分雲量では「7,8」であるが、全天を8として割り当てる(画像5に加筆された赤文字)と「6」になる。全天を8として全雲量を問う問題については、【実技の問1虫食い問題かんたん解説】第59回気象予報士試験<実技1>の⑧⑨に詳しく解説しているため、併せて参照してほしい。


⑧⑨⑩雲形の記号より、下層雲=「積雲」、中層雲=「高積雲」、上層雲=「巻雲」となっている。なお、十種雲形を漢字で書くことが指定されている。

⑪過去天気は、全雲量の右下にある記号[☈]より、「雷電」である。

⑫天気は、観測時に降水現象や雷、霧、煙霧などがない場合、雲量から判定する ※詳しくは気象庁発行「気象観測の手引き」(PDF)p.58-60を参照


<雲量による天気の判定>

  • 全雲量1以下   ⇒ 快晴

  • 全雲量2以上8以下 ⇒ 晴れ

  • 全雲量が9以上であって、見かけ上、上層の雲が中・下層の雲より多い ⇒ 薄曇り

  • 全雲量が9以上であって、見かけ上、中・下層の雲が上層の雲より多い ⇒ くもり


松江の全雲量は「7,8」であるため、「晴れ」となる。

 

以上より

⑦ 6

⑧ 積雲

⑨ 高積雲

⑩ 巻雲  (⑧~⑩順不同)

⑪ 雷電

⑫ 晴れ


⑬⑭は気象衛星画像から読み取る

<学習のヒント>気象衛星画像の見方は、気象庁のHPで学んでおこう


500hPa天気図
画像7)図3 気象衛星画像の可視画像と赤外画像を切抜

⑬佐渡付近から福島県にかけてと黄海にみられる雲域は、赤外画像では明白色に写っている。赤外画像は温度が低いほど白く写るため、『雲頂の』に続く語句は「温度」となる。

⑭上記と同じ雲域を可視画像でも解析した結果、『これらの雲域は積乱雲と判断される』とあるため、可視画像で見られる対流性の雲の特徴の一つである「雲頂が凸凹が適当である。

 

⑬ 温度

⑭ 凸凹


第53回試験の実技2問1(1)穴埋め問題はいかがでしたか。

今回は、記号の読み取りだけでなく、相当温位図や気象衛星画像の読み取りもありましたが、問われていることは基本的な内容です。天気図や気象衛星画像の見方はよく復習しておきましょう。



この記事を書いた人

TeamSABOTEN 気象予報士・気象防災アドバイザー 奥田純代



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