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【実技の問1 虫食い問題かんたん解説】第53回気象予報士試験<実技1>

こんにちは。TeamSABOTENのスクール講師・奥田純代です。 このシリーズでは、実技試験の問1で必ず出題される気象概況の虫食い問題について、簡単に、わかりやすく、そして正確に解説します。

今回は、第53回気象予報士試験<実技1>。2011年4月27日~28日にかけて日本海を低気圧が発達しながら進む事例です。


■第53回気象予報士試験<実技1>

実技1問1(1)

地上天気図
画像1)図1 地上天気図(情報に赤枠、着目する内容にピンク色のマーカー、海上警報に黄色の四角を加筆)

 日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄( ① )〜( ⑫ )に入る適切な語句または数値を答えよ。ただし、①は16方位、④は8方位で答え、⑥⑦⑧⑨⑩はそれぞれ下の枠内から適切な語句を1つ答えよ。なお、図1では、日本海にある低気圧に伴う前線、および秋田と鹿児島の気圧変化量は記入されていない。

 

 地上天気図によると、日本海には中心気圧 986hPaの低気圧があり、( ① )に( ② )ノットで進んでいる。この低気圧に対しては( ③ )警報が発表されている。日本の東海上では、低気圧に吹き込む、あるいは高気圧の縁辺を回る( ④ )よりの風による湿った空気の流入のため、( ⑤ )警報が発表されている。

 秋田の地上観測によると、上空は高積雲または高層雲に覆われており、下層雲は( ⑥ )。

 秋田の気圧の変化傾向は( ⑦ )で、3時間前と比較して気圧は( ⑧ )なっている。鹿児島の気圧の変化傾向は( ⑨ )で、3時間前と比較して気圧は( ⑩ )なっている。

 850hPa 天気図によると、チェジュ島では北西30ノットの風による( ⑪ )移流の場、潮岬では南西55ノットの風による( ⑫ )移流の場となっており、日本海の低気圧の発達に対応している。

 

選択肢

⑥ ( ない 不明である )

⑦⑨( 上昇後緩やかに上昇  上昇後一定  上昇後下降

    下降後緩やかに下降  下降後一定  下降後上昇 )

⑧⑩( 高く 同じに 低く )  


①~③は地上天気図に記されている情報から読み取る

<学習のヒント>情報の内容は、ささっと読めるようにしよう


海上警報の種類
画像2)全般海上警報(気象庁HPより)

画像1の図1地上天気図には、問題の関係上、日本海にある低気圧に伴う前線、および秋田と鹿児島の観測実況に気圧変化量が記入されていない。

 

日本海の低気圧には、Lの文字の右側に[SW]と記されており、「海上暴風警報が発表されている(③の解答)。このため、この低気圧に対して情報(画像1の赤枠)が付記されており、①②の低気圧の進行方向と移動速度は、この情報(画像1赤枠内のピンク色のマーカー部分)から読み取る。

なお、①の低気圧の進行方向は「16方位」で答えるよう指定されている。

 

以上より

① 東北東

② 35

③ 海上暴風


④⑤は地上天気図から読み取る

<学習のヒント>大まかな大気の流れを気圧配置から読み取ろう


④日本の東海上は、さらに東にある高気圧の循環や日本海の低気圧の循環を考えると、ちょうど南から空気が流れ込みやすい形となっている。このため、「よりの風」と判断できる。

なお、④は「8方位」で答えるよう指定されている。

⑤日本の東海上にはFOG[W]の記号があり、「海上濃霧警報」が発表されていることを意味している。

 

④ 南

⑤ 海上濃霧


⑥~⑩は観測実況から読み取る

<学習のヒント>気圧の変化傾向の記号の意味は、代表的なものだけでも覚えておこう


観測実況値の入力形式
画像3)観測実況値の入力形式(気象庁HPより)
観測実況
画像4)各地点の観測実況(気圧の変化傾向に水色の枠を加筆)
主な雲の形の記号
画像5)気圧の変化傾向(国際気象通報式を基に作成)

⑥秋田の下層雲は、欄(全雲量の下)に記号がないため、観測されていないことを示している。

答えは選択肢の中から適切な語句を選択するため、「ない」となる。

⑦⑧気圧の変化傾向は、全雲量の右側に描かれている記号から読み取る。

秋田の気圧の変化傾向は、上の表の一番下の記号と同じ「上昇後下降」であり、気圧は3時間前と比べて低くなることを示している。

⑨⑩鹿児島の気圧の変化傾向は、上の表の下から4番目と同じ「下降後上昇」であり、気圧は3時間前と比べて、低く、もしくは同じになることを示している。

 

 以上より

⑥ ない

⑦ 上昇後下降

⑧ 低く

⑨ 下降後上昇

⑩ 低く(同じにでも正解)


⑪⑫は850hPa天気図から読み取る

<学習のヒント>寒気移流か暖気移流かは、等温線と風向に着目しよう


500hPa天気図
画像6)図2 850hPa天気図(着目する等温線に着色、チェジュ島と潮岬の矢羽に黄色の楕円を加筆)

⑪チェジュ島の風は北西風で、寒気側から暖気側へ等温線に交わるように吹いているため、「寒気移流」とわかる。

⑫潮岬の風は南西風で、暖気側から寒気側へ等温線に交わるように吹いているため、「暖気移流」とわかる。

 

⑪ 寒気

⑫ 暖気


第53回試験の実技1問1(1)穴埋め問題はいかがでしたか。

解答を選択肢から選ぶ問題が多かったので得点しやすい問題でした。

問1(1)でしっかり点数を獲得できるようにしましょう。

次回は実技2です。



この記事を書いた人

TeamSABOTEN 気象予報士・気象防災アドバイザー 奥田純代



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