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【実技の問1 虫食い問題かんたん解説】第52回気象予報士試験<実技2>

こんにちは。TeamSABOTENのスクール講師・奥田純代です。 このシリーズでは、実技試験の問1で必ず出題される気象概況の虫食い問題について、簡単に、わかりやすく、そして正確に解説します。

今回は、第52回気象予報士試験<実技2>。記号の読み取りに加え、十種雲形の略号や雲の分類に用いる符号を問う問題が含まれています。基本的な問題なのでしっかり得点できるように復習しよう。


■第52回気象予報士試験<実技2>

実技2問1(1)

地上天気図
画像1)図1 地上天気図(着目する情報に赤枠を加筆)

 6日9時の日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄( ① )〜( ⑭ )に入る適切な整数値または語句などを答えよ。ただし、⑤⑦は16方位、⑥は漢字で答え、⑧⑨⑬は十種雲形の略号を下の枠からそれぞれ一つ選べ。

 

 三陸沿岸の北緯( ① )°、東経( ② )°には、中心気圧が( ③ )hPaの高気圧があり、( ④ )ノットの速さで( ⑤ )へ移動している。この高気圧の南縁には、( ⑥ )前線の記号で表示された梅雨前線が存在している。一方、中国大陸の東岸には低気圧があって( ⑦ )へ進んでおり、サハリン付近にも低気圧がみられる。

 

 北海道から近畿地方にかけてはおおむね晴れているが、関東平野は雲に覆われ、東京では( ⑧ )と( ⑨ )が観測されている。

 

 また、南西諸島から中国地方にかけては、比較的密な雲域が広がっている。

鹿児島では、全天を( ⑩ )とした全雲量が7以上であり、雲の( ⑪ )はあるものの、前6時間以内に( ⑫ )があった。雲の分類に用いる符号CL に属する雲としては( ⑬ )が観測されているが、その雲量は1以下であり、上空の大部分を覆うのは、雲の分類に用いる符号( ⑭ )に属する雲である。

 

選択肢

⑧⑨⑬ ( Ac  As  Cb  Cc  Ci   Cs  Cu  Ns  Sc   St )


①~⑤は地上天気図から高気圧について読み取る


①②高気圧の中心を示す✕印の緯度・経度を1°単位で読み取る。

北緯は、38°もしくは39°で迷うが、どちらともとれるくらい微妙な場合は、解答も幅を持たせて『どちらとも正解』としていることが多い。

あまり時間をかけず、自分が正しいと思った方を答えよう。

 

③は、高気圧の中心の右側に記されている数値「1020」から「1020hPa」とわかる。

④⑤移動速度と進行方向は、白抜きの矢印と単位[KT]の付いた整数値がセットになって記されている(画像1の赤枠)ので、それを読み取る。

⑤進行方向は、「16方位」で答えるよう指定されており、白抜き矢印が緯度・経度に対してどれくらいの角度なのかを読み取ると、「南東」または「東南東」ともとれる。

この問いも、正しい方法で方向を読み取ったなら、自分が正しいと思う方を答えよう。

 

以上より

① 38(39)

② 142

③ 1020

④ 15

⑤ 東南東(南東)


⑥⑦は地上天気図から高気圧以外のことについて読み取る


⑥高気圧の南縁にある前線は、「停滞前線」である。

⑥は「漢字」で答えるよう指示がある。

⑦大陸の東岸にある低気圧の進行方向は、低気圧中心の左上の白抜き矢印が緯度・経度に対してどれくらいの角度なのかを読み取り、「16方位」で答える。

 

⑥ 停滞

⑦ 北東


⑧~⑫は観測実況から読み取る

<学習のヒント>記号の意味や十種雲形の略号は、資料を見ずに答えられるように覚えよう


観測実況値の入力形式
画像2)観測実況値の入力形式(気象庁HPより)

雲形の記号
画像3)雲形の記号(気象庁HPより)

雲量の記号
画像4)全雲量の記号(気象庁HPより)(国際気象通報式で使用する番号:赤文字の符号を加筆)

観測実況
画像5)東京と鹿児島の観測実況(雲形記号に赤丸、着目する過去天気に水色の枠を加筆)

⑧⑨東京は、観測実況の雲形の記号より「積雲」と「層積雲」があることがわかる。

問題に『十種雲形の略号を下の枠(選択肢)から』答えるよう指定されているため、

積雲=Cu ,層積雲=Sc となる。

十種雲形の略号は、全て覚えておこう。


十種雲形の略号
画像6)十種雲形の略号

⑩全雲量は、「全天を10として雲の占める面積の割合を示す【10分雲量】で観測を行う」と国際的に決められている。鹿児島の全雲量を【10分雲量】で読み取ると、「9又は10隙間あり」となるが、問題文には『7以上であり』とある。

これより、ここでは全雲量を【10分雲量】で読み取っているのではなく、全天を8とした「8分量」としていることが推測される。

 

全天を8として全雲量を問う問題については、【実技の問1虫食い問題かんたん解説】第59回気象予報士試験<実技1>の⑧⑨の解説を参照してほしい。

 

⑪前述したように、全雲量を【10分雲量】で読み取ると「9又は10隙間あり」であるため、「隙間」が当てはまる。

⑫鹿児島では、過去天気の記号「●」から「」があったことがわかる。

なお、問題文に書かれている通り、「過去天気は前6時間以内の天気」であることも覚えておくこと。

 

⑬雲の分類に用いる符号「CL」は「下層雲」のことであり、鹿児島で下層雲として観測されているのは全雲量の下にある記号より「積雲(Cu」とわかる。

なお、⑬は『十種雲形の略号を下の枠(選択肢)から』答えるよう指定されている。

⑭積雲以外に観測されている雲は、全雲量の上にある記号より「高積雲(Ac)」とわかる。

高積雲は中層雲に属するため、雲の分類に用いる符号では「CM」となる。

雲の分類に用いる符号は、Cloudの「C」とLow,Middle,Highそれぞれの頭文字との組み合わせとなっている。この符号については過去問にあまり出題されていないが、難しい符号ではないので覚えておこう。

 

以上より

⑧ Cu

⑨ Sc

⑩ 8

⑪ 隙間

⑫ 雨

⑬ Cu

⑭ CM


第52回試験の実技2問1(1)穴埋め問題はいかがでしたか。

問1(1)だけで14点獲得できます。暗記事項はしっかり覚えて、問1の穴埋め問題は確実に点数を取れるようにしましょう。



この記事を書いた人

TeamSABOTEN 気象予報士・気象防災アドバイザー 奥田純代



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