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【実技の問1 虫食い問題かんたん解説】第51回気象予報士試験<実技1>

こんにちは。TeamSABOTENのスクール講師・奥田純代です。 このシリーズでは、実技試験の問1で必ず出題される気象概況の虫食い問題について、簡単に、わかりやすく、そして正確に解説します。

今回は、第51回気象予報士試験<実技1>。地上天気図の読み取りだけでなく、気象衛星画像の基礎知識、850hPa天気図と500hPa天気図を照らし合わせて解答する問題もあります。

様々な天気図や気象衛星画像もしっかり読み取る力をつけて、確実に得点できるようにしましょう。


■第51回気象予報士試験<実技1>

実技1問1(1)

地上天気図
画像1)図1 地上天気図(着目する情報に赤枠を加筆)

 日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄( ① )〜( ⑪ )に入る適切な語句または数値を答えよ。ただし、①⑨は十種雲形、④は移動に関する語句、⑦⑩⑪は8方位で答え、⑤は下の枠内から適切な語句を一つ答えよ。

 

 地上天気図によると、東シナ海に中心気圧1008hPaの低気圧があり、そこから華南および日本の東にかけて停滞前線がのびている。この前線に近い鹿児島の地上観測によると、全天が( ① )に覆われしゅう雨となっており、前( ② )時間内に( ③ )があった。また、小笠原諸島付近には太平洋高気圧があり、( ④ )している。

 気象衛星水蒸気画像では、朝鮮半島の南部にやや暗い部分が見え、その領域では、対流圏( ⑤ )で水蒸気が( ⑥ )いことが推定される。また、東シナ海には、台湾の北と地上低気圧の東側に白く輝く雲域がある。可視画像では、これらの雲域の( ⑦ )側に、太陽光による影が見られ、雲頂の( ⑧ )い( ⑨ )であることがわかる。

 停滞前線に近い東シナ海は、850hPa天気図では低圧部となっており、500hPa天気図では大陸にあるトラフの( ⑩ )側でかつ太平洋高気圧の( ⑪ )側に位置しており、降水の発生しやすい気圧配置となっている。

 

選択肢

⑤ ( 下層 中・上層 上層 )


①~③は観測実況から読み取る

<学習のヒント>記号の意味は、資料を見ずに答えられるようにしよう

観測実況値の入力形式
画像2)観測実況値の入力形式(気象庁HPより)
地上実況
画像3)鹿児島の実況(図1より拡大)
雲量の記号 10分雲量
画像4)雲量の記号(気象庁HPより)
雲形の記号
画像5)主な雲の形の記号(気象庁HPより)

①鹿児島の観測実況から全天が「どんな雲」に覆われて“しゅう雨”となっているのかを、「十種雲形」で答えるように指定されている。

全雲量は[●]:【10分雲量】の「10(隙間なし)」(画像4を参照)で、雲形を示す記号は下層雲の「積雲」(画像3の赤丸)のみであることから、全天が「積雲」で覆われていることがわかる。これは、“しゅう雨”となっていることにもつじつまが合う。

②③は、過去の天気について問われているため、全雲量の右下(画像3の水色の枠)にある記号[☈]より、過去天気は「前6時間内に雷電」があったことを示している。


以上より

① 積雲

② 6

③ 雷電


④は地上天気図から読み取る

<学習のヒント>じょう乱の移動に関する英語表記は読めるようにしよう


④は「移動に関する語句」を答えるよう指定されている。 小笠原諸島付近の太平洋高気圧の周りには、移動速度を示す白抜き矢印はなく、高気圧のHマークの右側に「ALMOST STNR」とある。

ALMOST STNR」は、“ALMOST STATIONARY”の略で、「ほとんど停滞(速度5ノット以下で進行方向が定まっていない)」という意味である。(画像6)


ほとんど停滞
画像6)移動に関する語句の英略語と日本語の意味(気象庁HPより)

 

④ ほとんど停滞


⑤~⑨は気象衛星画像から読み取る

<学習のヒント>気象衛星画像の見方は、気象庁のHPで学んでおこう


水蒸気画像について
画像7)水蒸気画像について(気象庁HPより)

⑤⑥上の画像7の通り、水蒸気画像は明域や暗域から対流圏中・上層の水蒸気の多寡を推測することができる。よって、朝鮮半島の南部のやや暗い部分は、水蒸気が少ないことを示している。

⑦可視画像は、雲や地表面から反射された太陽光を観測した画像で、太陽光が斜めからあたる朝や夕方では、雲頂高度の高い雲の影が周りの低い雲の雲頂に写ることがある。

なお、影の方角は「8方位」で答えるよう指定されている。

⑧⑨この雲域は、問題文より水蒸気画像で『白く輝く雲域』とあるため、対流圏上層まで水蒸気があることを示しており、雲頂高度の高い発達した対流雲であることが推測できる。

⑨は「十種雲形」で答えるよう指定されているため、「積乱雲」と解答する。


⑤ 中・上層

⑥ 少な

⑦ 西(北西)

⑧ 高

⑨ 積乱雲


■⑩⑪は850hPa・500hPa天気図から読み取る

<学習のヒント>500hPa面のトラフは天気図に描き込み、850hPa面の低圧部との位置関係で方角を読み取るときは一番近くの緯度・経度に対する角度を参考にしよう


850hPa天気図
画像8)図3 850hPa天気図(着目する低圧部に赤丸を加筆)

500hPa天気図
画像9)図4 500hPa天気図(トラフを赤線、太平洋高気圧に青丸を加筆)

⑩⑪注目する850hPa天気図の低圧部が500hPa天気図のトラフ、太平洋高気圧それぞれに対してどのような方角に位置しているかを答える。

⑩問題文に書かれている『500hPa天気図の大陸にあるトラフ』を天気図に描き込んでみると上の画像9の赤線のように引ける。

850hPa天気図の東シナ海の低圧部との位置関係を見ると、低圧部はトラフの南東にある。

⑪太平洋高気圧との位置関係は、西(または北西)にある。


⑩ 南東

⑪ 西(北西)


第53回試験の実技1問1(1)穴埋め問題はいかがでしたか。

次から次へと図を見て解答しなければならない問題でしたが、問題文には着目する部分の状況説明が丁寧に書かれていましたので、解答しやすい問題だったと思います。

どんな天気図が出てきても解答できるように、天気図の見方はよく復習しておきましょう。

次回は実技2です。



この記事を書いた人

TeamSABOTEN 気象予報士・気象防災アドバイザー 奥田純代



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