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上空の前線を考える④(ジェットストリークの対流強化):元気象庁予報官・鈴木和史のコラム(第7号)~気象予報士の知識が高まる わかりやすい解説~

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コラムを書いた気象予報士は気象庁予報官や気象台長を歴任









TeamSABOTENの奥田純代です。

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【元気象庁予報官・鈴木和史のコラム】第7号を公開します。

気象予報士の方も受験生にとっても知識が高まる、わかりやすい解説です。


「過去のコラムをみたい!」というご要望にお応えして

このブログで2022年5月に連載を始めた第1号から順に掲載しています。

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●鈴木和史先生のご経歴

・気象大学校卒業

・気象庁予報課予報官

・気象衛星センター解析課長

・宮崎地方気象台長

・鹿児島地方気象台長



●上空の前線を考える④ジェットストリークの対流強化【元気象庁予報官・鈴木和史のコラム】第7号

(2022.9.15メルマガ配信 原文のまま)



JS(ジェットストリーク)に伴う鉛直循環についていろいろな面をみてきた。一般に、JSは対流圏上部に限られた現象で、地上での擾乱や天気に影響を及ぼすことは少ない。しかし状況によっては、対流を強化させるケースがある。地上前線に対しJSが交わる場合がそれである。


図1のように、地上前線とJS出口が交わっている場所では、JS出口寒気側(第Ⅰ象限)の上空に上昇流が励起されている。したがって、地上前線付近で発生した対流の上昇流は上空に到達すると、 JS出口寒気側の上昇流によって対流の上昇流が助長・強化されるというメカニズムである。


ジェットストリークが前線を強めるモデル

山形や新潟で特別警報が発表される大雨となった8月3日の事例で、このことを確認してみよう。


3日9時には、停滞前線上の低気圧が秋田沖にあって東進し、それからのびる停滞前線が南下している(図2)。低気圧後面の停滞前線に沿って酒田沖に線状の活発な対流域があり、あとで詳述するJS(図の破線緑色部分)の出口部分に相当する。


ジェットストリーク 水蒸気画像 レーダーエコの分布 地上天気図

この時の300hPaの大気の流れを解析してみよう(図3)。

9600mと9720mの間の流れ(赤破線)を推測する。なお、3日9時、秋田の観測値は天気図には記入されていなかったので青色で補足している。秋田の風向は西南西で、等高度線の走向から西風と推定できる地衡風とは風向がやや乖離している。非地衡風成分が大きい秋田のこの風を考慮すると、日本海にはショートトラフが存在すると推測できる(図では二重線)。このショートトラフは、3日21時には仙台の東に進んだ。


300hPa天気図 ジェットストリーク

ショートトラフが東北地方を通過したと思われる3日15時頃に、国内航空路予測断面図(図4)では仙台からその北の200~300hPaに、JSに特徴的なVWS(Vertical Wind Shear:鉛直方向の風速差)の大きな領域(桃色破線)が存在している。つまりこのショートトラフはJSを伴っていたと推定できる。推定したJSは図3に緑色領域として表す。


国内航空路予測断面図

そして3日21時(図5)には、上昇流が励起されるJSの入口暖気側(第Ⅲ象限)に相当する山形新潟付近で、持続的に対流が発達し大雨をもたらしている。JSを伴うこのショートトラフは、ほぼ東西にのびる地上停滞前線に交わるように北西方向から通過しており、JSの鉛直循環が地上前線付近で発生した対流を助長する役割を果たしたと考えられる。持続的な対流の発達には、下層水蒸気の流れ込みや収束など様々な要因が関連しているが、大気上層のこうした仕組みもその一つの要因と考えてもよいのではないか。


ジェットストリーク 水蒸気画像 レーダーエコー分布 地上天気図

今回の例はかなり強引な推測だが、気象知識の断片や観測事実をつなぎ合わせて自分なりに仮説をたて現象を考察するのは、気象学の楽しみであり醍醐味の一つである。皆さんもぜひお試しあれ。



記事を書いた気象予報士は気象庁予報官だった









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この記事を書いた人

TeamSABOTEN 気象予報士・気象防災アドバイザー 奥田純代



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