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上空の前線を考える①(ジェットストリーク):元気象庁予報官・鈴木和史のコラム(第4号)~気象予報士の知識が高まるわかりやすい解説~

~メルマガで大人気のコラム第4号をブログで公開!~


コラムを書いた気象予報士は気象庁予報官や気象台長を歴任









TeamSABOTENの尾崎里奈です。

サボテンの無料メールマガジンで大好評の連載コラム

【元気象庁予報官・鈴木和史のコラム】第4号を公開します。

気象予報士の方も受験生にとっても知識が高まる、わかりやすい解説です。


「過去のコラムをみたい!」というご要望にお応えして

このブログで2022年5月に連載を始めた第1号から順に掲載しています。

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●鈴木和史先生のご経歴

・気象大学校卒業

・気象庁予報課予報官

・気象衛星センター解析課長

・宮崎地方気象台長

・鹿児島地方気象台長



●上空の前線を考える①ジェットストリーク【元気象庁予報官・鈴木和史のコラム】第4号

(2022.7.15メルマガ配信 原文のまま)



前線は、地上天気図でおなじみだが、高層天気図には描かれていない。前線とは、異なる気団の境界なので、温度傾度が急な部分として定義することができる。つまり地上の前線と同様、温度傾度の大きい所があれば、上空(対流圏上部)でも前線が存在する。対流圏上部では水蒸気量が少ないので、雨や雲などの悪天を伴うことは少ないが、CAT※のような乱気流を伴うことが多い。なじみの薄い上空の前線の概念と構造について、数回に分けて話してみよう。


最初に、ジェットストリーク(jet streak:以後JSと記す)いう現象を取り上げる。JSは、対流圏上部の強風軸の中で、風速が局所的に極大となっている区域を指す。強風軸の流れの中を、強風コアが通り抜ける様子から、ストリークと呼ばれているのだろう(そういえば昔ストリーカーっていたね(^_-) )。


図1は、JSが発達していく過程の模式図である。メインのトラフ(赤の二重線)の後面から、寒気を伴うショートトラフ(青の二重線)が発生する(図1のa)。ショートトラフの寒気は、メインのトラフの等温線と接する部分で局所的に温度傾度が大きくなり、すると温度風の関係から周囲より風が強くなって、JSが形成されることになる。JSは、メイントラフの後面を南下する(図1のb)。そしてメイントラフに追いついて(図1のc)、その後はトラフ前面に出て弱まる(図1のd)という過程をたどる。


オホーツク海高気圧の地上天気図と500hPa天気図

実例(図2)を示そう。6月19日から21日までの300hpa天気図である。緑で色付けした風速80kt以上の領域がJSである。メインのトラフ(赤の二重線)は動きが遅く、その後面からJSが南下し、20日には図1cのようにメイントラフと重なって最盛期となった。21日には、JSはメイントラフを追い越し、トラフも弱まっている。


オホーツク海高気圧の特徴をを比較するエマグラム

最盛期である20日21時の状況を図3 (300hpa天気図と水蒸気画像)に示す。JSを赤矢印で表している。これを水蒸気画像に重ねると、JSの寒気側(北側)に沿って明瞭な暗域になっているのがわかる。JSを挟んで、北側の札幌の気温は-40.3℃、南側の秋田は-36.3℃と、温度傾度が大きくなっている。温度傾度の急な部分として前線を定義すると、JSはまさに上空の前線ということになる。


オホーツク海高気圧の地上天気図

次回は、このJSの大気構造はどうなっているのかお話ししよう。


※CAT(Clear Air Turbulence)晴天乱気流:乱気流とは「航空機の運航などに支障が生じるような気流の乱れのこと」であり、「対流雲のない、一見穏やかそうな大気中でも、偏西風ジェットの周辺や前線面など風の鉛直シアが強い場所では強い乱流が存在することがあり」CATと呼ばれている。(気象科学事典より)



記事を書いた気象予報士は気象庁予報官だった









元気象庁予報官・鈴木和史のコラム

次回は「上空の前線を考える②(ジェットストリークの構造)」です。お楽しみに・・・☆



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皆様これからもTeamSABOTENをよろしくお願いします!


TeamSABOTENスクールイベント事務局


この記事を書いた人は

気象予報士・気象防災アドバイザー

尾崎里奈です



TeamSABOTEN 気象予報士スクール

当スクールでは、学科分野から実技分野まで気象予報士試験に合格できる様々なオンライン講座をご用意しています。 また、長年 オリジナル模擬試験も作成・販売しており、 “ 気象の本質がよくわかる ” と 受験生に大好評です。 気象予報士の資格取得後は、気象の専門家を目指してスキルアップできる環境も整っています。

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