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気象予報士試験・学科と実技は切り離すな!~第64回気象予報士試験〈実技〉に見る学科の要素(1)~

こんにちは。TeamSABOTENのスクール講師・佐々木恭子です。

学科(一般・専門)の勉強を一通り終えた方や、「今回の試験で学科は合格できそうだ」と感じている方の中には、「さぁ、実技分野に突入だ!」と鼻息荒くしている方も多いのではないでしょうか。いいですね!その勢いでいきましょう。


ただ、学科分野が終了したからといって、全く新しい分野の勉強を始めようとしていませんか?学科と実技は切り離せないということを忘れないでください。実技では、解き方や訓練の仕方こそ変わりますが、全く新しい知識をゼロから学ぶわけではありません。実際、これまでのSABOTEN講座の卒業生の中には、一般・専門合格した後も学科を並行して復習しながら実技を進め、順当に合格した方がいます。また、学科と実技の繋がりを早くから理解し、同時に勉強を進めて一発合格を果たした方もいます。


ここで強調したいのは、「学科と実技を必ず同時に勉強して一発合格を目指す」ということではありません。学科では天気や気象を理解するための「部品」を学び、実技ではその部品を組み合わせて現象を読み解きます。両者の役割を意識しながら勉強を進めていただきたいのです。



■第64回気象予報士試験【実技1問2】状態曲線の問題

実技1の問2は状態曲線を使用する問題です。状態曲線は、ラジオゾンデによる高層気象観測のデータをエマグラム上にプロットしたもので、地点ごとの鉛直方向の大気の状態を把握することができます。高層観測については専門分野で学びますが、状態曲線から分かる大気の安定度などは一般分野の学習内容です。

問題を解く前に、まずは8日21時の「名瀬」のデータからどのようなことを読み取れるか、自力で列挙してみましょう。


第64回気象予報士試験【実技1問2】状態曲線の問題
第64回実技1問2で使用する、名瀬の状態曲線(図4・2021年8月8日21時)

①安定層はどの高度にあるか(そもそも安定層とは何か)?

②そのうち、逆転層はどの高度にあるか?

③最も湿数の小さい高度と、最も湿数の大きい高度は?

④SSIはどれくらいか?

⑤地表付近(970hPa)空気塊を持ち上げたときの持ち上げ凝結高度、自由対流高度、平衡高度(浮力がなくなる高度)は?


天気図も合わせて見れば、さらに多くの特徴を挙げられますが、まずは状態曲線だけで上記の5項目くらいを自身で確認できるとよいでしょう。これらは全て一般分野で学んだ内容です。もし理解があいまいな点があれば、一般分野の復習が必要です。


実際の問題は・・・

(1)は最も下層にある逆転層の下端の読み取りですので、②で解答可能です。

(2)は「逆転層の下端から最下層(970hPa)までの気層の状態」を問うもので、一般分野の大気の静的安定度に関する知識で判断できます。空気塊が上昇できるかどうか、その判断理由を解答すればいいわけです。

(3)は、⑤の考察を踏まえれば難なく解答できます。


このように、実技試験の問題の中には、ほかの天気図を見なくても一般分野の知識だけで解答できる問題が複数あります。ここは確実に点を取れる部分であり、得点源となります。


※①~⑤の考察について。あくまでも参考です。

①700~635hPa、600~590hPa、530~510(505)hPa

②860~850(855)hPa、530~525hPa

③湿数最小:900hPa 湿数最大:635hPa

④1.5℃

⑤持ち上げ凝結高度:950hPa、自由対流高度:950hPa、平衡高度:860hPa



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この記事を書いた人

TeamSABOTEN気象予報士スクール

気象予報士・防災士 佐々木恭子



公式解答に基づき、実技試験の解き方や答え方、着目点などを

どこよりも丁寧に、わかりやすく、そして正確に解説しています。(解説時間 約4時間)

第64回気象予報士試験 実技解説動画


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気象予報士試験 実技過去問解説 第51回~第64回



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当スクールでは、学科分野から実技分野まで気象予報士試験に合格できる様々なオンライン講座をご用意しています。 また、長年 オリジナル模擬試験も作成・販売しており、 “ 気象の本質がよくわかる ” と 受験生に大好評です。 気象予報士の資格取得後は、気象の専門家を目指してスキルアップできる環境も整っています。


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