top of page

Pythonで可視化!鉛直断面図だからわかる台風23号の構造③軸が立つのが見える!可視化で楽しさ倍増

こんにちは。TeamSABOTENの気象予報士スクール講師・奥田純代です。

前回のブログ「Pythonで可視化!鉛直断面図だからわかる台風23号の構造②中心はスカスカだけど水蒸気たっぷり」では、TeamSABOTEN初のプログラミング教材「Pythonで気象GPVデータを可視化しよう」の教材制作者、Python先生こと佐野栄治さんが作成して下さった台風23号の鉛直断面図から、台風の中心は下層雲の渦しか見られないものの非常に暖かく湿った空気を保持していることがわかりました。

今回は、台風が南西諸島の東へ進み、勢力を強めていく様子を鉛直断面図と等圧面天気図で見てみます。


今回のブログは、前回、前々回の続きとなっています。まだご覧になっていない方は前回(②)前々回(①)のブログを先にお読みください。

TeamSABOTENのYoutubeチャンネル【気象専門STREAM. 【スーミン衛星センター】~10月の台風23号を深掘り~では、台風23号を気象衛星画像と気象レーダーで振り返っています。こちらも先にご覧いただくと、台風の特徴と動きを把握できます。


■ズレていた渦は一体化して台風発達


可視画像 台風23号
地上の予想天気図(予報時刻:10月10日12時(左)、10月11日0時(右))(図中の赤矢印は断面線)

鉛直断面図
鉛直流・湿数・相当温位の鉛直断面図(予報時刻:10月10日12時(左)、10月11日0時(右))(赤字のTは台風の中心位置、青線は渦の中心軸)

地上の予想天気図より、10月10日12時から11日0時は台風の中心とすぐ南にある対流雲域(前3時間降水量が計算されている領域)が近づき、台風の中心気圧が下がり、発達しているのがわかります。


各鉛直断面図をみると、10月10日12時は、1日前の10月9日12時(前回・前々回のブログを参照)では下層と中層~上層で分かれていた渦の中心軸(図内の青線)が、傾いているものの1本の軸として解析できそうです。そして12時間後の10月11日0時になると、渦の中心軸は鉛直方向に立ち、9日12時では下層と中層~上層で分かれていた渦は一体化してします。典型的な台風の鉛直構造と同じような形になっていますね。

この変化は、相当温位や鉛直流の鉛直断面図からも読み取れます。

下層で台風の中心と北側に偏っていた高相当温位の空気は、11日0時には対流雲域の下層にも広がり、偏りが解消されています。上昇流も下層と中層~上層で分布が分かれていたのが11日0時には中心軸に沿って真っすぐ立ち、1つになっています。


鉛直断面図は、台風の構造がだんだんしっかりしてくる様子を視覚的に見ることができ、面白いですね。


■立ってくる中心軸を等圧面天気図でみる


等圧面天気図 台風23号
500hPaと850hPaの高度・温度・風の予想図(予報時刻:10月10日12時(左),10月11日0時(右))(図中の赤矢印は断面線)

次は、鉛直方向に傾いていた渦の中心軸が立ってくる様子を500hPaと850hPa面の天気図で見てみます。

低気圧のLマーク(渦の中心)を850hPaと500hPaで比較すると

 10月10日12時:500hPaのLマークは850hPaよりも少し南にある

 10月11日 0時:500hPaのLマークは850hPaの真上にある

これが「傾いていた渦の中心軸が立ってくる」という変化になります。

10月10日12時の等圧面天気図からは「渦の中心軸が傾いている」というのは、ちょっと気づきにくいですね。明らかに鉛直断面図で見た方がわかりやすいです。


等圧面天気図は、風の流れから低気圧性循環を見つけやすく、温度分布からは暖気核、高度分布から台風が発達していることも容易に読み取ることができますが、鉛直方向の構造を確認するにはやはり鉛直断面図がとても有用です。等圧面天気図と合わせて使用すると現象を立体的に捉えることができ、理解が深まりますね。


■Pythonで可視化できると気象の楽しさも倍増

今回は台風23号について、Pythonで作成された鉛直断面図から気象衛星画像で見た対流雲域の構造をより詳しく見ることができたり、気象衛星画像だけでは気づけなかったことも知ることができたりで、とても興味深かったです。

皆さんの中にも、『もっと上空はどうなっているのだろう』『メソモデルのデータではどうなっているのだろう』など、いろいろと気になった方もいるのではないでしょうか。

Pythonを使って描画できるのなら、自分がみたいデータを自由に組み合わせたり、特徴を捉えやすくするために等値線に色付けしたり、自分専用にカスタマイズしてみたくなりませんか?

現象によっても現れる特徴はさまざまですので、自分でGPVデータを可視化してじっくり見てみるのも楽しそうです。また、自分の住んでいる地域、気になる地域を見てみるのも新しい発見があるかもしれませんね。

「自分であれこれ作って、探る」ことが何よりも学習になり、気象の楽しさだと思います。


ご興味がある方は、ぜひTeamSABOTENのプログラミング教材をご活用ください。


Python講座

“どんな天気図が描画できるのかもっと知りたい”という方は、ぜひ無料のPythonライブをご覧ください。PythonライブはTeamSABOTENのYoutubeチャンネル【気象専門STREAM. で月に1回おこなっています。次回は11月27日(木)19:30~20:00開催です。


Pythonライブ

過去の配信もアーカイブがあります。こちらの再生リストからご覧ください。

きっと“自分も描いてみたい!”となりますよ♪



この記事を書いた人

TeamSABOTEN 気象予報士・気象防災アドバイザー 奥田純代



●TeamSABOTEN気象予報士スクールからのお知らせ


TeamSABOTENでは、合格のための様々なコンテンツをご用意しております。

ぜひご活用ください。


気象予報士試験 全国統一予報士モシ


気象予報士試験  試験で点をとる講座


公式解答に基づき、問題の解き方や答え方、着目点などを丁寧にわかりやすく解説。

これで過去問を徹底的にマスターしよう!(無期限で何度でも視聴可能)

第64回気象予報士試験実技解説


気象予報士試験 模試付き総合パック


気象予報士試験 実技完全パック


気象予報士試験 学科一般コース


気象予報士試験 学科専門コース


気象予報士試験  実技の基本のキ


気象予報士試験 実技入門コース


実技過去問解説


気象予報士試験 実技事例演習コース


気象予報士試験 実技時短サーキット


気象予報士 合格模擬試験


気象予報士試験 サボテンドリル



TeamSABOTEN 気象予報士スクール

当スクールでは、学科分野から実技分野まで気象予報士試験に合格できる様々なオンライン講座をご用意しています。 また、長年 オリジナル模擬試験も作成・販売しており、 “ 気象の本質がよくわかる ” と 受験生に大好評です。 気象予報士の資格取得後は、気象の専門家を目指してスキルアップできる環境も整っています。


コメント


気象予報士試験に役立つ無料メルマガ登録
bottom of page