Pythonで可視化!鉛直断面図だからわかる台風23号の構造①下層と中層でズレる渦
- 奥田純代

- 2025年11月17日
- 読了時間: 6分
こんにちは。TeamSABOTENの気象予報士スクール講師・奥田純代です。
TeamSABOTENでは、Youtubeチャンネル【気象専門STREAM. 】で様々な動画を配信していますが、その中でTeamSABOTEN初のプログラミング教材を紹介するライブ配信を行っているのはご存じですか?
先月【Pythonで鉛直断面図を拡大して描いてみよう】というテーマで、教材制作者であるPython先生こと佐野栄治さんが紹介してくださいました。 (まだご覧になっていない方は上のリンクからご視聴できますので、ぜひ見てみてください。)

Python先生が紹介しているような鉛直断面図は、プログラミング教材「Pythonで気象GPVデータを可視化しよう」の正規版オプション教材「Pythonで大気の鉛直断面図を描こう」を購入すると描けるようになるそうです!
正規版オプション教材「Pythonで大気の鉛直断面図を描こう」については、Youtubeで配信済みの【Pythonで鉛直断面図を描いてみよう】をご覧ください。
Pythonで鉛直断面図を描けるようになると、自分が見たい場所、見たいデータを自由に選んで組み合わせることができ、『たぶんこうなっているんじゃないか』と想像するしかなかった大気を可視化して見ることができるので、とっても魅力的ですよね。
実は、TeamSABOTENのYoutubeチャンネル【気象専門STREAM. 】で10月下旬に配信した【スーミン衛星センター】~10月の台風23号を深掘り~の収録の際、(CEOの)鈴木和史先生と『Pythonで描画した断面図を見られたら面白そうだよね』と話しをしていたんです。
それを【Pythonで鉛直断面図を拡大して描いてみよう】のライブ配信中にコメントしたところ、後日、Python先生こと佐野さんがご厚意で台風23号の鉛直断面図を描画し、SNSで公開してくださいました!
今回は、その台風23号の鉛直断面図を皆さんにもご紹介します。
そして、鉛直断面図からどんなことが読み取れるのかを考えてみます。
■等圧面天気図と鉛直断面図の組み合わせで見やすい!

引用しているSNS(X)の投稿はこちら
<図の内容>
等圧面天気図:200,300,500,850hPa,地上
鉛直断面図:[相当温位・温度・風][湿数・風][鉛直流・風]
使用GPV:全球モデル
※初期時刻から3時間先の予想図を12時間毎に表示
※等圧面天気図内の赤矢印は断面を描画する範囲を示す
等圧面天気図と鉛直断面図が1つの画像に収められているので、等圧面天気図での特徴を確認しながら鉛直断面図を見ることができます。また、予報時間毎に並んでいるので時間変化も読み取りやすくなっています。
自分で描画した図を使いやすいようにカスタマイズできるのも、自分でプログラミングするメリットの一つですね。
■典型的な台風の構造とは違った23号
まずは、台風23号のおさらいをしておきましょう。
台風23号は、日本の南で発生し、南西諸島の東で転向して、八丈島や青ヶ島に甚大な被害を及ぼした台風22号と同じようなコースを進みました。しかし、台風22号と似ていたのはコースだけで、発達の過程は全く違い、南西諸島の東を北上するまで台風23号の中心は下層雲の渦のみで、典型的な台風とは異なる構造をしていました。


気象衛星画像による台風の動き、気象レーダーによる雨雲の様子は【スーミン衛星センター】~10月の台風23号を深掘り~をご覧ください。
■下層と中層で渦がズレてる?
はじめに、台風23号が日本の南を北西進する10月9日12時の850hPaと500hPaの高度・温度・風の予想図に着目してみましょう。

9日12時の可視画像を見てわかる通り、白く写る対流雲のすぐ北の小さな渦巻きが台風23号の中心です。
この時刻の850hPaの予想天気図では、台風中心の真上に低気圧のLマーク、そのすぐ北に暖気核(Wマーク)もあり、台風の反時計回りの回転もしっかり見られます。
一方、500hPaでは、台風中心の真上に暖気核(Wマーク)がありますが、低気圧のLマークと反時計回りの循環は台風中心から南南西の方向にズレています。
つまり、850hPa(下層)の渦は、台風に伴う渦ですが、500hPa(中層)の渦は、台風中心のすぐ南側に発生している対流雲(前3時間降水量が計算されている領域)内にある渦と考えられます。
■下層と中層の"渦"、鉛直断面図ではどう見える?

[鉛直流・風]の鉛直断面図(上図の左上)を見ると、矢羽の向きが反転しているところが渦の中心(赤字の「T」は地上の台風の中心位置)で、その中心軸(図中の青線)は下層と中層~上層ではっきりと分かれているのがわかります。
先ほど850hPa面と500hPa面で確認した渦が鉛直方向で見てもズレていることが確認できます。
さらに、中層~上層の渦の中心軸の周りでは、下層に比べて-50hPa/hの上昇流域の範囲が広がっているのがわかります。
[湿数・風]の鉛直断面図(上図の右上)も見ると、上昇流域が広がっている領域と同じところに湿数3℃以下の湿潤域も分布しています。
このことから台風中心の南側で発生している対流雲域は、中層から上層で大きく広がるような(まるでブロッコリーみたいな)形で発達していたのではないか、と想像されます。
限られた気圧面からは知ることのできない鉛直方向の鉛直流や湿数の分布がわかると、「上昇流(下降流)はどの辺りまであって、湿った空気(乾燥した空気)はどれくらい厚みがあるのか」など、大気の状態をより詳しく知ることができます。また、その時に起こっている現象を理解しやすくなりますね。
台風の中心よりも高高度まで発達した対流雲が広がる領域では、きっと非常に暖かく湿った空気(高相当温位の空気)が流れ込んでいるのでは?と想像が膨らみます。
次のブログでは、相当温位の鉛直断面図を見てみたいと思います。
お楽しみに。
この記事を書いた人
TeamSABOTEN 気象予報士・気象防災アドバイザー 奥田純代
●TeamSABOTEN気象予報士スクールからのお知らせ
TeamSABOTENでは、合格のための様々なコンテンツをご用意しております。
ぜひご活用ください。
公式解答に基づき、問題の解き方や答え方、着目点などを丁寧にわかりやすく解説。
これで過去問を徹底的にマスターしよう!(無期限で何度でも視聴可能)

TeamSABOTEN 気象予報士スクール
当スクールでは、学科分野から実技分野まで気象予報士試験に合格できる様々なオンライン講座をご用意しています。 また、長年 オリジナル模擬試験も作成・販売しており、 “ 気象の本質がよくわかる ” と 受験生に大好評です。 気象予報士の資格取得後は、気象の専門家を目指してスキルアップできる環境も整っています。
















コメント