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空と天気図から秋を読み取る

10月に入っても、まだ「本格的な秋」を感じにくい日が続き、もう暑いのは勘弁してほしいと思っている、佐々木恭子です。皆さま、いかがお過ごしですか?

次の気象予報士試験(第65回気象予報士試験)まではまだ時間もありますし、たまにはゆっくり空や天気図を眺めてみませんか?


■「秋は空が高い」と感じるのはなぜか

「秋は空が高い」とよく言われます。

空の高さを対流圏の高さと考えると、日本が位置する中緯度帯では、空気が温まって膨張する夏に対流圏が最も高く、冬に最も低くなります。つまり、物理的な意味では秋は「空が高い季節」ではありません。

では、どうして私たちは秋の空を高く感じるのでしょうか?


夏の空と秋の空
画像1) どちらの空が高く見える?

■ポイントは「見通し」と「雲」

秋の空が高く見える理由の一つは、「見通しの良さ」です。

夏の日本付近は太平洋高気圧に覆われ、大気の下層には水蒸気がたくさん含まれています。水蒸気の多い空気では太陽光が散乱しやすく、空が白っぽくかすんで見通しが悪くなります。一方、秋になると空気が乾いて太陽光の散乱が減るため、遠くまで澄んで見渡せるようになります。

加えて、現れやすい雲の種類が変わることも理由です。夏の代表的な雲である「積雲(わた雲)」「雄大積雲(入道雲)」「積乱雲(雷雲)」などは、湿った下層で発生する雲です。これらが空を覆うと、雲底が近く見えて空が低く感じられます。ところが、秋になると下層の空気が乾燥して低い雲が減り、「巻雲(すじ雲)」「巻積雲(うろこ雲)」「高積雲(ひつじ雲)」といった高い位置の雲が出やすくなります。この変化によって、私たちは「秋の空は高い」と感じるのです。


「見通し」や「雲」が変化する理由は偏西風

見通しの良さや雲の変化の背景には、偏西風が関わっています。

夏は中緯度まで空気が温まり、日本付近は地上から上空まで高気圧にすっぽり覆われます。偏西風も北へ追いやられ、日本付近の上空の風は弱くなり、上層雲もできにくいです。

秋になると、中緯度帯の南北の温度差は次第に大きくなるため、偏西風も日本付近で強まるようになります。これにより、偏西風の蛇行に伴って移動性高気圧がやってくれば乾燥した空気がもたらされ、温帯低気圧が近付いてくれば「巻雲」「巻層雲」といった上層雲が広がり、秋らしい空に出会えるのです。


偏西風を天気図で確認してみよう

500hPa天気図
画像2)500hPa天気図(2025.10.07.00UTC)

地上天気図
画像3) 地上天気図(2025.10.07.00UTC)

画像2は、2025年10月7日9時初期時刻の上空500hPaの天気図です。

南北の温度差が大きく、高度差(等高度線の間隔)が狭いところが強風軸です。これを見ると、東日本から西日本にかけては5820m以上の高度場で風が弱く、東シナ海には5940mの高気圧もあり、まだ夏の空気が残っていることがわかります。

一方、北緯40度付近には5460~5580mの等高度線に沿う強風軸が見られ、この流れに対応して地上では(画像3)「低気圧―高気圧―低気圧」と並び、天気の周期変化が始まっているようです。ここです!ここに「秋」があります。


もう真夏ではありませんから、1枚の天気図の中にも季節の境目が見えるようになってきました。ぜひ、空模様と天気図を合わせて眺めてみてください。



この記事を書いた人

TeamSABOTEN 気象予報士・防災士 佐々木恭子



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