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サボテン講師陣が迷った問題はコレ(その1)~第64回気象予報士試験【解答速報】の裏側~

更新日:9月15日

こんにちは。TeamSABOTENの島下尚一です。

第64回気象予報士試験が8月24日(日)に実施され、TeamSABOTEN気象予報士スクールでは翌日の25日夜に実技の解答速報を出しました。 もうご覧いただけましたか?

まだの方は、9/3までに以下のどちらかにお申し込みいただくとご覧になれます。



■難問ではないのに1つに絞りにくかった問題

今回は、サボテン講師陣が模範解答例を作るときに、意見が分かれ議論になった問題についてお話します。まずは気象衛星画像を読み取る問題です。

実技1問1(2)

図2の気象衛星赤外画像を用いて、以下の問いに答えよ。


①8日21時には、200hPa~300hPa付近を流れるジェット気流が朝鮮半島から千島近海にかけて解析されている。雲の分布から、このジェット気流の東経130°線上での位置を推定し、その緯度を1°刻みで答えよ。そして、何を根拠にその位置を推定したかを30字程度で述べよ。

【問題文を整理】

●提示された資料

気象衛星赤外画像のみ。※200hPa、300hPaの天気図はない。


●提示された条件

ジェット気流が朝鮮半島から千島近海にかけて解析されている。


●解くために必要な知識

まずは実技初学者の方のために地域名を確認


アジア・北西大西洋域の地名、海域名
図1


衛星画像の情報から雲の性状や高さ、大気の流れなどを読み取る力。

(例えばこれ)

学習のために読んでから先へ読み進めてください。

気象衛星センター/画像活用/ Ciストリーク

気象衛星センターCiストリークの解説



トランスバースライン


【講師陣が迷った2つの考え方】

●考え方1

(1)上の知識に基づく素直な考え方

上層雲の北縁(北側の端)にあたるのではないか?

気象衛星赤外画像 ジェット気流
図2

図2:赤い矢印なら東経130°線上での位置は北緯43°となる。


(1)の疑問点

雲の北縁は沿海州で途切れている。


気象衛星赤外画像 ジェット気流
図3

図3:周囲の雲の走向を参考に、雲の北縁の延長線を黄色い破線で描いてみても千島近海までの流れは不明である。


●考え方2

(2)問題で与えられた条件に忠実な考え方


気象衛星赤外画像 ジェット気流
図4

図4:(1)とは別に、上層雲内の薄く見える黒っぽい筋から、さらに雲の北縁をたどると、千島近海に向けたジェット気流を読み取ることもできる。東経130°線上での位置は北緯40°となる。


(2)の疑問点

東経130°線上での位置を雲の北縁でない部分とすることで良いのか?


200hPa天気図 ジェット気流
図5

図5:この流れは200hPa天気図に解析されたジェット気流と一致する。

(ちなみに、この図は試験で提示されていない。)



サボテンの解答はどっち?

サボテン講師陣は、この2つから最終的にどちらを選んだのか。

それは解答速報をお申し込みの上でご確認を。

サボテン模範解答を入手する方法は以下の2通り。


・月額固定(サブスク)サービス SABOTEN's CAMPに入会し、実技の感想戦の<資料>タブからダウンロードする。


・9/3開催のオンラインライブ講座「実技解説ライブ」(公式解答に基づく解説)に申し込み、<資料>タブからダウンロードする。


いずれもサボテン解答速報のご提供は9/3まで。



【そもそも、ジェット気流の解析に用いるのは水蒸気画像】

サボテン講師で元気象庁予報官の鈴木和史先生は、気象衛星センターで解析課長も務められ、気象衛星画像の解析に関わる知見をまとめたものが今もネット上で沢山みられる。

この問題へのご意見としては

赤外画像では雲の特徴を読み取ることができるが、そもそもジェット気流の解析には赤外画像ではなく水蒸気画像を使うので、ここでは水蒸気画像を資料として提示するほうがよかった。とのこと。


気象衛星水蒸気画像 ジェット気流
図6

図6:ここに同じ時刻の水蒸気画像を参考までに掲載する。

これをどのように読み取るかは、9/3の解説ライブでお話するかもしれない。



■【公式解答が出る9/3に解説ライブ開催】

気象業務支援センターによる公式解答は試験の10日後、今回の場合は9月3日(水)に公開されるのが慣習となっている。はたして正解は?

サボテンではその日にすぐ、公式解答に基づく解説ライブをオンラインで開催。

本当の解答と解説を聞いて、さらに知識を深めたい方にオススメ。

当日参加できなくても、翌日9月4日(木)夜には無期限で視聴できる解説動画をご提供。


第64回気象予報士試験 実技解説ライブ

さて、受験生の皆さんはどのように解答しただろうか?

ここでサボテンの解答も公式解答も示していないが、解くための考え方がわかったはず。


サボテンのブログをお気に入りに登録して、次の記事もお楽しみに。



この記事を書いた人

TeamSABOTEN気象予報士スクール

気象予報士・防災士 島下尚一



●TeamSABOTEN気象予報士スクールからのお知らせ


TeamSABOTENでは、合格のための様々なコンテンツをご用意しております。

ぜひご活用ください。



模試付き総合パック


実技完全パック


実技過去問解説(第51回~第64回)

実技過去問解説


実技事例演習コース


実技時短サーキット


気象予報士 合格模擬試験


サボテンドリル



TeamSABOTEN 気象予報士スクール

当スクールでは、学科分野から実技分野まで気象予報士試験に合格できる様々なオンライン講座をご用意しています。 また、長年 オリジナル模擬試験も作成・販売しており、 “ 気象の本質がよくわかる ” と 受験生に大好評です。 気象予報士の資格取得後は、気象の専門家を目指してスキルアップできる環境も整っています。


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