【実技の問1 虫食い問題かんたん解説】第62回気象予報士試験<実技1>
- 佐々木恭子

- 2025年9月20日
- 読了時間: 6分
TeamSABOTENのスクール講師・佐々木恭子です。 このシリーズでは、実技試験の問1で必ず出題される気象概況の虫食い問題について、簡単に、わかりやすく、そして正確に解説します。
第62回試験は、実技1が2021年3月12日~13日の南岸低気圧の事例、実技2は2020年12月29日~30日にかけて日本付近を通過する低気圧と日本海にできるシアーラインの事例でした。
まずは実技1から見ていきましょう。
■第62回気象予報士試験<実技1>
実技1問1(1)
12日9時の日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄( ① )~( ⑪ )に入る適切な語句または数値を答えよ。ただし、①は16方位、③⑨は漢字、⑦⑧は下の枠内から1つ選び答えよ。
図1によると、九州の西には前線を伴った1014hPaの低気圧があり、20ノットの速さで( ① )に進んでおり、進行方向前面にあたる鹿児島の現在天気は弱い( ② )となっている。また、この低気圧に対して( ③ )警報が発表されており、最大風速が( ④ )ノット以上( ⑤ )ノット未満となっているか、今後( ⑥ )時間以内になると予想されている。
図2によると、九州の西の低気圧に伴う雲域は、北縁が高気圧性、南西縁が低気圧性曲率を持っている。この雲域の縁の曲率の変曲点は、衛星画像の解析では( ⑦ )と呼ばれ、( ⑦ )付近に低気圧の中心がある。そして、領域Aには活発な対流雲の存在を示す( ⑧ )状の雲域が見られ、そこは寒冷前線の西端付近にあたる。また、領域Bには、南北に連なる山脈付近から東側にかけて地形性巻雲が見られ、山脈の稜線付近から対流圏上部にかけて、ほぼ( ⑨ )な成層状態で風向がほぼ一定であることを示している。
図3(上)によると、黄海付近には灰色の太実線で示す500hPaのトラフがある。図3(下)によると850hPaの温暖前線は( ⑩ )℃~( ⑪ )℃の等温線に、寒冷前線は9℃~12℃の等温線に概ね対応している。
選択肢
⑦⑧ ( クラウドクラスター トランスバースライン にんじん バルジ フック Ciストリーク )
■①は低気圧の進行、②は天気記号を読み取る

低気圧の進行については、指定された低気圧の周辺にある白抜きの矢印の方向と速度を読み取ります。この低気圧は20ノットで東北東(東)に進んでいるということです。

鹿児島の実況の読み取り
[気温]17℃ [雲量]9~10マイナス [風向・風速]南東・10ノット
[現在天気]弱いしゅう雨
[十種雲形]中層雲:高積雲、高層雲 下層雲:積雲、層積雲
[下層雲の雲量]5(符号は4)
[過去天気]しゅう雨性降水
[前3時間気圧変化量・気圧変化傾向]-0.1hPa・下降後上昇
「現在天気」を問われたら、地点円(雲量を示す○)の左側にある天気記号を読み取ります。国際式の天気記号で用いられる現在天気は、全部で100種類(記号があるものは96種類)あります。降水に関するものから、強さの違いなども含めて覚えておきましょう。
① 東北東(東)
② しゅう雨
■③~⑥は海上警報の種類と発表基準
<学習のヒント>名称も発表基準も短時間で解答できるように暗記しよう

この低気圧には[GW]海上強風警報が発表されています。海上強風警報の風速の発表基準は、海上での風が最大風速34ノット以上48ノット未満です。これは実況でこの基準に達している場合にも発表されますが、今後24時間以内に基準に達する予想にも発表されます。
③ 海上強風
④ 34
⑤ 48
⑥ 24
■⑦~⑨は気象衛星画像の読み取りと典型的な雲パターンについて
<学習のヒント>気象衛星センターのHPを訪れよう

低気圧に伴う雲域について問われている場合は、衛星画像自体に低気圧の中心を書き込んでおくと分かりやすくなります。
低気圧中心の北東側に広がる雲域は、北縁に高気圧性曲率を持つ上層雲が分布する厚い雲域でバルジと言われ、発達中の低気圧に伴う雲域の典型です。低気圧の中心付近から南西方向には、低気圧性曲率を持つ雲域は寒冷前線に沿う形となっています。これらの雲域の、変曲点(曲率が変化するポイント)がフック状になっており、その周辺に低気圧の中心が位置しています。
ちなみに、高気圧性曲率は「高緯度側に膨らむ形」、低気圧性曲率は「低緯度側に膨らむ形」と思っている方も多いようですが、それは誤りです。高気圧性曲率は時計回りの流れに対して、低気圧性曲率は反時計回りの流れに対して使用する言葉であり、例えば高緯度側に膨らむ形でも、東風の流れにある場合は「低気圧性曲率」となります。
Aの雲域は、積乱雲が平衡高度まで発達してかなとこ状になり、かなとこ雲が上空の風で風下側に流され広がっている状態を示しています。このような雲域は「にんじん状雲」と呼ばれます。
Bの雲域は、まるで定規で線を引いたかのように、山脈を挟んで風下側(東側)だけに広がる雲域です。これは地形性巻雲で、山頂付近から対流圏界上部までほぼ安定な成層となっており、風向がほぼ一定な場合に発生します。
AやBの雲パターンは、気象衛星センターのHPでサンプルの画像とその仕組みまで詳しく書かれています。ぜひ、ホームページ内を探索してみてください。
⑦ フック
⑧ にんじん
⑨ 安定
■⑩⑪は850hPaの等温線の読み取り
<学習のヒント>最初は地上の前線をざっと描いてみると分かりやすい

低気圧の中心だけでもいいですが、最初は低気圧の中心や前線もざっくりと記入してみると等温線との関係は見出しやすくなります。
ここでは、温暖前線は6℃~9℃、寒冷前線は9℃~12℃の等温線に概ね対応していることが分かります。
⑩ 6
⑪ 9
今回の問1(1)穴埋め問題は、衛星画像に関する問いが多かったですね。
地上天気図の読み取りは必ず出てきますが、そのほかは、衛星画像について、500hPaの風について、850hPaの温度場についてなど、問われることは多岐に渡ります。
第62回実技2も、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
TeamSABOTEN気象予報士スクール
気象予報士・防災士 佐々木恭子
2025年9月28日(日)13時~17時にオンラインライブ(アーカイブあり)で開催。
テーマは「学科で実技の得点を伸ばせ!」です。
第64回気象予報士試験の分析をふまえ、完全合格のための効率の良い学習方法を解説!
そのうえで、実技によく出る学科の知識と実技の基礎を復習し、得点を伸ばせるように講義を行います。
次の試験で合格を目指す方はもちろん、学科勉強中や実技初学者の方にもおすすめの講座です。
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TeamSABOTEN 気象予報士スクール
当スクールでは、学科分野から実技分野まで気象予報士試験に合格できる様々なオンライン講座をご用意しています。 また、長年 オリジナル模擬試験も作成・販売しており、 “ 気象の本質がよくわかる ” と 受験生に大好評です。 気象予報士の資格取得後は、気象の専門家を目指してスキルアップできる環境も整っています。



















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