【実技の問1虫食い問題かんたん解説】第61回気象予報士試験<実技1>
- 島下尚一

- 2025年9月26日
- 読了時間: 7分
気象予報士試験に挑戦中の皆さん、勉強頑張っていますか?
TeamSABOTENの島下尚一です。 このシリーズでは、実技試験の問1で必ず出題される気象概況の虫食い問題について、簡単に、わかりやすく、そして正確に解説します。
この問1(1)を全部正解すれば11点とれますよ!
■第61回気象予報士試験<実技1>
実技1問1(1)

22日9時の日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄( ① )~( ⑪ )に入る適切な数値または語句を答えよ。ただし、②は16方位、③④⑧は漢字、⑦⑩は下の枠内から1つ選び、⑪は1つの整数で答えよ。
図1によると、九州の南には前線を伴って発達中の1008hPaの低気圧があり、( ① )ノットの速さで東北東に進んでいる。一方、東北地方には1024hPaの高気圧があり( ② )に進んでいる。九州の南の低気圧に対して( ③ )警報が発表されており、今後24時間以内に最大風速が70ノットに達すると予想されている。また、東シナ海には( ④ )警報が発表されており、この海域では視程が( ⑤ )海里以下になっているか、今後( ⑥ )時間以内になると予想されている。
図2によると、九州の南の低気圧に伴い九州付近から日本海にかけて( ⑦ )状をした雲頂高度の( ⑧ )い雲域があり、この低気圧が発達期にあることを示している。また、破線で囲まれた関東地方から関東の東には、東西に広がる雲域があり、図1によると、この雲域の下に位置する東京では、全雲量は8分量の8で下層雲の雲量は8分量の( ⑨ )、気温は3℃、天気は( ⑩ )雪となっている。
図3(下)によると、九州の南の低気圧に伴う前線は、850hPa面では温暖前線は( ⑪ )℃の等温線に、寒冷前線は9℃~12℃の等温線に概ね対応している。また、華北から日本海にかけて850hPa面の温度傾度の大きい領域がみられる。
選択肢
⑦( コンマ にんじん バルジ )
⑩( 弱い 並みの 強い )
■①は地上天気図に書かれている記事から読み取る

1行目から順に記載内容を説明する。
[DEVELOPING LOW] 発達中の低気圧
[1008 hPa] 中心気圧1008hPa
[31N 130E] 中心位置 北緯31° 東経130°
[ENE 35 KT] 進行方向 東北東 速度 35ノット ← ①
[EXPECTED WINDS 30 TO 70 KT 予想される風速30ノットから70ノット
WITHIN 1000 NM OF LOW 低気圧から1000海里
W-SEMICIRCLE 西側の半円
AND 500 NM ELSEWHERE 500海里 その他の半円
FOR NEXT 24 HOURS] 今後24時間に
5行目~9行目を整理すると
「今後24時間に、低気圧の西側半円1000海里以内と、その他(東側)の半円500海里以内で、
風速が30ノットから70ノットに達する予想である。」という意味。
以上より解答は
① 35
■②は高気圧の中心の北側に示された白抜き矢印の向きを読み取る
<学習のヒント>図法の関係で経度線は直線だが傾きが異なり、緯度線は曲線になっている。矢印に一番近い経度線(この場合は東経140°)に対して、矢印の角度がどうなっているかを正確に読み取る訓練をすること
16方位という指定
② 東
■③④⑤⑥は海上警報を覚えていれば答えられる問題
<学習のヒント>海上警報は頻繁に出題されるので条件も含めて完璧に暗記すること
気象庁では、日本近海について次の表に挙げる現象が発生しているか24時間以内に発生すると予想される場合に海上警報を発表している。
[SW]の種類、FOG[W]の種類と発表条件を答える。③④は漢字という指定
③ 海上暴風
④ 海上濃霧
⑤ 0.3
⑥ 24
■⑦⑧は気象衛星赤外画像から読み取る

<学習のヒント>気象衛星画像はよく出題されるので、気象衛星センターのHPで雲パターンについて学んでおくこと
選択肢より
⑦ バルジ
画像4図2から、バルジが明白色であるため、高い高度にあることがわかる。
漢字という指定
⑧ 高
■⑨⑩は天気記号の読み取り
<学習のヒント>記号の読み取りはよく出題されるのでしっかり覚えたほうがよい

⑨東京の下層雲の雲量は中央の黒丸●の右下の数字(画像6のNh)を読み取る
⑨ 8
<学習のヒント>問題文に「8分量」という表現が使われているが、地上気象観測は下の図の通り「全天を10として雲の占める面積の割合を示す【10分雲量】で観測を行うと国際的に決められている。しかし、下層雲を国際式天気記号に記す際は、下の図の赤文字の符号が用いられる。この赤文字の符号は、雲量を気象通報式で報じる際に1文字しか電文に組み込めない(雲量は2桁以上は使えない)ため、「0~9」の10個の数字および「/」の1個の記号に当てはめて用いることになっているもので、10分雲量の2、3は符号「2」、10分雲量の7、8は符号「6」と、やむをえずまとめられてしまう。
よって、「8分量」という表現を用いて「8」と答えさせることには全く試験としての意味はなく、本質的には下層雲の雲量を「10分雲量」で答えよ、と問うて、解答を「10隙間なし」とする問題を出すべきだ。
※受験生は仕方がないので赤文字の符号(「8分量」と言っているがそんな呼び方はない)と10分雲量の数字および記号の関係を暗記するしかない。
ちなみに8分量はないが、「8分雲量」というのは存在し航空気象観測で用いられている。
⑩は画像7から、中央の黒丸●の左の記号(画像6のww)を読み取る。
ww=71は「雪、観測時前1時間内に止み間がなかった。観測時に弱。」
選択肢から
⑩ 弱い
となる。
⑨⑩は、まだ九州の南にある低気圧から離れている東京の天気を問われた。
東北にある高気圧の縁を回る気流などを要因として、東京では下層雲が広がり、すでに弱い雪が降り始めているのである。天気記号によれば、下層雲の形は「層積雲」と「積雲」となっており、この場合の「層積雲」は積雲から変化したものではない。よって積雲が含まれるものの、雲の性状を分類すると「層状雲」と推定できる。その根拠として現在天気は「観測時前1時間に止み間がなかった。」(しゅう雨性でない降水)であり、降水の性状は「層状性降雨」と考えることができる。全天を隙間なく覆う下層雲の雲量は、通報番号「8」で、全雲量「10隙間なし」であり、中層雲、上層雲は、下層雲に遮られて観測できない(または存在しない)ので雲の形が天気記号に記されていないのである。
■⑪は850hPa天気図の等温線の数値を読み取る

図1に描かれた地上の温暖前線を赤線で、寒冷前線を青線で、図3に書き込んでみる。
すると温暖前線は、6℃線と9℃線の間にあることがわかる。
温暖前線は地上から上空に向かって、前線面が北に傾いているから、
850hPa面における前線面は地上の前線の位置より北にあるはずである。
解答は1つの整数という指定
⑪ 6
第61回試験の実技1問1(1)では、虫食い問題で11点獲得できる。
暗記、または簡単な読み取りだけなので、ここでしっかり得点を取れるようにしておこう。
この記事を書いた人
TeamSABOTEN株式会社 代表取締役
気象予報士スクール講師 気象予報士・防災士 島下尚一
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