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【実技の問1 虫食い問題かんたん解説】第58回気象予報士試験<実技2>

こんにちは。TeamSABOTENのスクール講師・奥田純代です。 このシリーズでは、実技試験の問1で必ず出題される気象概況の虫食い問題について、簡単に、わかりやすく、そして正確に解説します。

今回は、第58回気象予報士試験<実技2>です。2019年11月17日~18日にかけて、低気圧が日本海を発達しながら通過した事例です。


■第58回気象予報士試験<実技2>

実技2問1(1)


地上天気図
画像1)図1 地上天気図(着目する速度情報に赤い四角、海上警報に黄色い四角を加筆)

 日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄( ① )~( ⑨ )に入る適切な数値または語句を答えよ。ただし、②③は十種雲形を漢字で、⑥は漢字で、⑦は16方位で答え、⑨は下の枠内から適切な語句を選んで答えよ。

 

図1の地上天気図によると、黄海付近に中心気圧1012hPa の低気圧があって、北東へ( ① )ノットで進んでいる。この低気圧から温暖前線が日本海西部に、寒冷前線が華中にのびており、温暖前線に近い松江では、上層に( ② )、中層に( ③ )が観測されている。また、三陸沖に中心気圧1026hPa の高気圧があって、東へ20ノットで移動している。この高気圧の南西側の縁辺では、暖かく湿った空気が南西諸島に流入しており、那覇の現在天気は( ④ )、過去天気は( ⑤ )である。

黄海、日本海北部、オホーツク海、北海道の東から千島近海の広い範囲で、( ⑥ )警報が発表されている。

図2の500hPa天気図によると、北緯48゜東経120゜付近には、中心高度5220mの寒冷低気圧がある。これに伴う最も低い気温の観測値は、低気圧中心の( ⑦ )側の( ⑧ )℃である。

図3の気象衛星赤外画像によると、中国東北区付近には( ⑨ )状の雲がみられることから、その南側の黄海付近にある低気圧は今後発達する可能性が高い。

 

選択肢

⑨ ( バルジ     コンマ    にんじん )


①は低気圧の進行速度の読み取り

黄海付近の低気圧の上にある速度表記(画像1の赤い四角)を読む。

 

① 35


②③は記号から雲の形を読み取る

<学習のヒント>記号の読み取りはよく出題されるので、しっかり覚えてミスなく解答できるようにしよう


観測実況値 記入型式
画像2)観測実況値の記入型式(気象庁HPより)
雲形 記号
画像3)主な雲の形の記号(気象庁より)
観測実況値
画像4)観測実況値(左:那覇 右:松江)

上層雲と中層雲は、全雲量の上にある記号を読み取る。

 

② 巻雲

③ 高積雲


④⑤は観測された天気を記号から読み取る


那覇の天気(画像4の左の図を参照)


④現在天気は、地点円(雲量を示す○)の左側に天気記号が記入されている場合はその記号から読み取りますが、ない場合は全雲量と雲の種類から判断します

那覇は、現在天気の欄に記号がないので、全雲量と雲の種類を読み取ります。

全雲量は「9または10隙間あり」、雲形より中層雲と下層雲が主体であることから、天気は「」と判断できます。


雲量 記号
画像5)雲量の記号(気象庁より)

⑤過去天気は、地点円(雲量を示す○)の右下の天気記号を読み取ります。

天気記号▽は、「しゅう雨性降水」となります。

 

過去天気 天気記号
画像6)過去天気の天気記号(気象庁より)

④ 曇

⑤ しゅう雨性降水


⑥は海上警報を読み取る


黄海、日本海北部、オホーツク海、北海道の東から千島近海には FOG[W] という記号が付いています(画像1を参照)。これは、海上濃霧警報が発表されているという意味です。


全般海上警報
画像7)全般海上警報(気象庁HPより)

⑥ 海上濃霧


⑦⑧は850hPa天気図の気温の観測値を読み取るだけ

500hPa天気図
画像8)図2 500hPa天気図(着目する寒冷低気圧にL、観測値に赤い楕円を加筆)

観測地点毎に付記されている値は、上段が気温、下段は湿数です。

寒冷低気圧の周辺で最も気温が低い観測地点は、上図の赤丸で囲った地点となるので、低気圧中心から南西側に位置していること、気温は-39.1℃であることを読み取ればよい。


⑦ 南西

⑧ -39.1


⑨は気象衛星赤外画像の読み取り

<学習のヒント>気象衛星センターのHPに掲載されている事例集はとてもわかりやすく教材としてオススメ

学習のために読んでから先へ読み進めてください。

気象衛星センター/画像活用/


バルジ
画像9)バルジ(気象衛星センターHPより)
赤外画像  バルジ
画像10)図3 気象衛星赤外画像(着目する雲域に赤い楕円を加筆)

雲域の北縁が高気圧性曲率をもって極側に膨らむように広がっていることから、「バルジ」と判断できます。


⑨ バルジ



第58回試験の実技2問1(1)穴埋め問題はいかがでしたか。

地上天気図からは満遍なく記号の読み取りが出題され、そのほかにも500hPa天気図の観測値の読み取り、衛星画像から雲の特徴も問われました。

天気図の基本的な見方や専門知識で学ぶ衛星画像についてもよく復習しておきましょう。



この記事を書いた人

TeamSABOTEN 気象予報士・気象防災アドバイザー 奥田純代



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