【実技の問1 虫食い問題かんたん解説】第57回気象予報士試験<実技2>
- 佐々木恭子

- 2025年10月1日
- 読了時間: 6分
TeamSABOTENのスクール講師・佐々木恭子です。 このシリーズでは、実技試験の問1で必ず出題される気象概況の虫食い問題について、簡単に、わかりやすく、そして正確に解説します。
第57回試験の実技2は日本海低気圧の事例で、問1(1)は10問あります。この10点は絶対に落とさないようにしましょう。
■第57回気象予報士試験<実技2>
実技2問1(1)

27日9時の日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄( ① )~( ⑩ )に入る適切な整数値または語句を答えよ。ただし、②⑤は16方位、③④⑦⑨⑩は漢字で、⑥は下の枠内から1つ選んで答えよ。
地上天気図によると、日本海中部には中心気圧が( ① )hPaの発達中の低気圧があり、30ノットの速さで( ② )へ進んでいる。この低気圧には海上( ③ )警報が発表されている。低気圧の中心から東南東にのびる( ④ )前線に向かって、小笠原諸島の東に中心を持つ優勢な高気圧から南寄りの風が吹き込んでおり、石川県輪島の風向は( ⑤ )、現在天気は( ⑥ )である。
一方、低気圧の中心から南西にのびる( ⑦ )前線が、朝鮮半島南岸を経て東シナ海に達し、この前線が通過したチェジュ島と、まだ通過していない鹿児島との気温差は( ⑧ )℃である。また、中国大陸南部に解析されている( ⑨ )前線の北側と南側を比較すると、( ⑩ )側の方が気圧の傾きが大きい。
選択肢
⑥( 雨,弱 雨,並 雨,強 )
■①②は低気圧の中心気圧と移動の読み取り 日本海中部にある前線を伴った低気圧の中心気圧は、低気圧の近くにある数字を読み取ります。中心気圧は1006hPaです。中心の×印を囲む線は破線になっており、2hPa間隔で引かれる補助線です。1008hPaの実線の内側に引かれているので、中心気圧は1006hPaと確認できます。
低気圧の移動方向は白抜きの矢印、速度は白抜きの矢印の近くにある数字(ノット・KT)を読み取ります。白抜きの矢印で移動方向を解答するときは、白抜きの矢印に沿って経度線まで直線を伸ばし(画像2の赤線)、ものさしで大体の角度を測る(黄色丸)といいでしょう。微妙な角度の場合は、模範解答にも幅が提示されますので、悩む必要はありません。
※画像は、別事例の天気図です。

① 1006
② 東北東
■③は全般海上警報の読み取り
<学習のヒント>何度でもいうが、反射的に答えられるようにしておこう
日本海中部にある低気圧に対して発表されている海上警報は、[GW]海上強風警報です。すぐ近くにFOG[W]海上濃霧警報が発表されていますが、これは低気圧に対して発表されているのではなく、この海域に発表されているものです。
また、今回は風速の基準については問われていませんが、すべて覚えておきましょう。
③ 強風
■④⑦⑨は前線の名前を解答する

日本海中部の低気圧からのびる前線は3種類あります。1つは、低気圧の中心から東南東の方向にのびている温暖前線、中心から南西方向にのびているのが寒冷前線です。これら2つの前線に囲まれた低気圧の暖域内は気圧傾度が大きく小笠原諸島の東に中心を持つ優勢な高気圧から前線に向かって吹き込みむ南寄りの風は強そうです。
また、寒冷前線は大陸から張り出す高気圧の南を回って大陸までのび、北北東の風に変わる華中では停滞前線に変わっています。
温暖前線や寒冷前線が長くのびて、途中から停滞前線に変わることはよくあります。寒冷域側や暖域側に動く前線の特徴はなくなるためです。このような前線を解析するときには、風に着目します。寒冷前線の周辺で吹く低気圧性曲率(反時計回り)を持つ風から、高気圧の縁で吹く高気圧性曲率(時計回り)を持つ風に変化する所が境界です(青矢印を見てください)。
④ 温暖
⑦ 寒冷
⑨ 停滞
■⑤⑥⑧は天気記号の読み取り



風向は、地点円からのびる矢羽根の方向を16方位で読み取りますので、輪島は南西の風となります。また、輪島の観測は地点円が三角形で囲まれていますが、これは自動観測(wawa)を意味しています。現在天気は横並びの2つの●で、wawaの61番「雨、弱」です。
気温は、地点円の左肩の数字を読み取りますので、チェジュ島は12℃、鹿児島は20℃です。寒冷前線の北側に位置するチェジュ島のほうが鹿児島よりも8℃も低いことが分かります。
⑤ 南西
⑥ 雨,弱
⑧ 8
■⑩は地上天気図から等圧線の分布の特徴を読み取る
中国大陸南部に解析されている停滞前線は、大陸から張り出す高気圧の南端に描かれています。前線の南側と北側を比較すると、4hPaごとに描かれる等圧線の本数は北側で多くなっています。本文にある「気圧の傾き」とは気圧傾度のことで、等圧線の間隔が狭いところは気圧の傾きが大きい、気圧傾度が大きい所です。この事例では、大陸の高気圧が優勢で、前線が通過すると寒気が強く吹き出す可能性を示唆しています。
⑩ 北
第57回気象予報士試験、実技問1(1)穴埋め問題解説はいかがでしたか。
今回、実技2のほうは地上天気図のみの穴埋め問題で、これだけで10問も点を稼げるものでした。これはラッキーですね。
解説をよく読んでいただき、1問も落とさないように、不安なところがあったらよく復習して頭に叩き込んでおきましょう。
この記事を書いた人
気象予報士スクール 気象予報士・防災士 佐々木恭子
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