SNSで話題の解答が2つに分かれる学科専門<問8>をズバリ解説【第64回気象予報士試験 専門知識 問8】~水蒸気画像の読み取り~
- 奥田 純代

- 2025年9月1日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年9月2日
こんにちは。TeamSABOTENのスクール講師・奥田純代です。
第64回気象予報士試験から一週間ほど経ち、受験された皆さんは、少しは落ち着かれましたでしょうか。
今回は、TeamSABOTENの模試付き総合パックの受講生から学科専門知識の試験問題についてご質問をいただいたので、ここでお答えします。
(この解説は公式解答例が発表される前の9月1日公開です。)
■水蒸気画像の読み取り
ご質問は、専門知識の問8水蒸気画像を読み取る問題の(c)の正誤についてです。
下の水蒸気画像は、問8に使用された画像と同日時(2024年10月1日午前9時)のものです。
(c)の問題は以下の通りで、下線部の正誤について考えます。
“(c)領域E内の東側には、上層の寒冷低気圧に伴う上・中層雲のみからなる雲域が見られる。”

■ 水蒸気画像からわかることは何?
この問題を解く前に【水蒸気画像は何を観測しているのか】を確認しておきましょう。
1.気象衛星センターホームページ「水蒸気画像の特徴」より一部抜粋

2.気象衛星画像の解析と利用《2022 改訂版》p.133 第4章:水蒸気パターン より一部抜粋


■ 水蒸気画像は雲域を表現しているのではない
これらの資料から見てもわかるように、
水蒸気画像は、上・中層の水蒸気の多寡を表しており、上・中層の雲域を表しているわけではありません。
上の資料「4.1.2 明域」にある通り、明瞭な明域は、上層もしくは中層の雲頂として捉えることができますが、その下層に雲があるのか、ないのかは判断できない。
つまり、『上・中層雲のみからなる雲域』であるとは断言できないのです。
よって、問8(c)は「誤り」となります。
■ この問題が問う本当の意図
この問題を解く際、着目する明域が上層の寒冷低気圧の東側に発達した対流雲と考えられるため、『上・中層雲のみからなる雲域』ではないと考えて、「誤り」と解答した方がいるかもしれません。
しかし、この問題の本当の意図は、そこではなく、
【水蒸気画像は、何を観測し、何が読み取れるのか】
水蒸気画像の根本的な原理をしっかり理解できているのかを問うているのです。
■ 問8全体の解答は迷わずコレ!
この問題の他の項目について簡潔に解説します。
問8(a)は、AとCの渦は「台風」、Bは寒冷低気圧(寒冷渦)なので「誤」
(b)は文の通りなので「正」
(c)は上の説明の通り「誤」
(d)は台風の上層発散に伴う流れに関係するトランスバースラインとみられ、台風中心のすぐ東側に、台風の動きに影響を与えるジェット気流が位置することもおかしいので「誤」
問8の解答は、迷う点は無く、
④ 誤 正 誤 誤
だと思います。
■ 今こそ、基礎の復習を
気象の学習が進み、だんだんと知識が増えて資料の見方にも慣れてくると、結論だけを覚えてしまい、理論的な過程をおろそかになりがちです。
しかし、気象予報士試験では、専門知識に限らず、一般知識・実技試験も含めて、基礎の理解が不可欠です。
試験が終わり、少しゆとりのできる今だからこそ、基礎に戻って復習してみませんか?
きっと、学び始めた頃よりも、今基礎に戻ってみると、当時何となく通り過ぎた内容がより深く理解できるようになり、今後の学習にも必ず役立つはずです。
TeamSABOTEN 気象予報士・気象防災アドバイザー 奥田純代
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