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オホーツク海高気圧を考える:元気象庁予報官・鈴木和史のコラム(第3号)~気象予報士の知識高まるわかりやすい解説~

執筆者の写真: TeamSABOTENTeamSABOTEN

更新日:2024年10月10日

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コラムを書いた気象予報士は気象庁予報官や気象台長を歴任









TeamSABOTENの尾崎里奈です。

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気象予報士の方も受験生にとっても知識が高まる、わかりやすい解説です。


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●鈴木和史先生のご経歴

・気象大学校卒業

・気象庁予報課予報官

・気象衛星センター解析課長

・宮崎地方気象台長

・鹿児島地方気象台長


 

●オホーツク海高気圧を考える【元気象庁予報官・鈴木和史のコラム】第3号

(2022.6.17メルマガ配信 原文のまま)



暖かい高気圧・冷たい高気圧という言い方があります。「暖かい代表は太平洋高気圧で、冷たい代表はシベリア高気圧でしょ」とお思いですね。それは正しいです。この言い方にならうと、オホーツク海高気圧は冷たいとも暖かいとも言えます。そのわけを考えてみましょう。 6月5日21時の地上天気図(図1)には、オホーツク海高気圧が見られます。この高気圧は、500hPa北半球天気図(図2)では、シベリア東部の5700mの等高度線で囲まれたブロッキング高気圧から南に延びる気圧の尾根に対応しています。つまりこのオホーツク海高気圧は、上空まで気圧が高い、背の高い高気圧です。背が高いということは、周りに比べ密度の小さい暖かい空気で構成されている(層厚が大きい ※図6参照 )ことになり、それゆえ背の高いオホーツク海高気圧は暖かい高気圧とも呼ばれます。それではなぜ、オホーツク海高気圧は冷たいのでしょうか?

オホーツク海高気圧の地上天気図と500hPa天気図

同じ日のエマグラム(図3)でみると、稚内も札幌も850hPaより上空では気温に大きな差はありません。しかし、稚内では950hPaより下層にオホーツク海高気圧から流れ込んだ500m程度の冷気層があり顕著な逆転層が形成されて、地上気温は4℃程度です。一方、北海道中央部の1000m以上ある山々に冷涼な空気を遮られる札幌の地上気温は12℃程度となっています。もし稚内で、オホーツク海高気圧の冷気に影響されていない850hPa付近の気塊を乾燥断熱減率で地上に下ろすと、20℃前後の気温になるはずです。

オホーツク海高気圧の特徴をを比較するエマグラム

同時刻の地上天気図(図4)では、オホーツク海に面した観測点は10℃以下(青〇印)であるのに対し、同じブロッキング高気圧の影響下にある内陸のシベリアの観測点は15~20℃(赤〇印)となっています。

オホーツク海高気圧の地上天気図

オホーツク海高気圧の冷気は、この時期でも3℃しかない海面水温の低いオホーツク海(図5)に、上空のブロッキング高気圧の影響で動きが遅くなった空気塊が長期間滞留して冷やされた結果です。

オホーツク海高気圧に関係する海面水温図

つまりオホーツク海高気圧は、ごく地表付近だけは冷たい空気で構成された冷たい高気圧で、その分だけより一層地表での気圧が高くなっています。図1の地上天気図で矢印で示した気圧の尾根は、オホーツク海高気圧から派生して、周りより冷たい空気が流れ出していることを反映しています。このようにオホーツク海高気圧は、背の低い冷たい高気圧の性質も、もち合わせているのです。


オホーツク海高気圧に関連する層厚の解説図



記事を書いた気象予報士は気象庁予報官だった









元気象庁予報官・鈴木和史のコラム

次回は「上空の前線を考える①(ジェットストリーク)」です。お楽しみに・・・☆

 

気象予報士の知識高まるわかりやすい解説

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この記事を書いた人は

気象予報士・気象防災アドバイザー

尾崎里奈です


 

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